第14回学術セミナー【動物歯科の臨床】歯周病 2017/07/02 大井町

2017年7月2日開催の第14回 日本総合口腔医療学会学術セミナーのご報告です。

 

今回のメインテーマは【動物歯科の臨床】で関心の高い“歯周病”についてのセミナーでした。

 

午前は会員による【症例検討会】があり、

・歯根嚢胞が上顎洞炎に進展してしまった症例

・β-TCPを用いた犬の下顎骨骨折の治療

・インプラントの2000症例にも及ぶデータから見た予後の考察

と、専門性の高い内容で、有意義な時間となりました。

 

特別講演①は

【動物病院での簡単な歯周病チェックと新しいデンタルジェルの活用】

獣医師・戸田功先生が、動物病院での歯周病チェック方法から患者(飼い主)教育の方法について、分かりやすく実例を交えた講義を行いました。人と同じく、日々、ちゃんと歯磨きをすることが、歯周病治療・歯周病予防に重要なことは変わりません。それでも歯磨きが難しい場合があるので、新しいデンタルジェルを活用しての歯周病対策をお勧めしました。

 

教育講演は、

【歯周病の基礎と治療の要点】

歯科医師が、歯周病の基礎的な解剖・組織について、バイオフィルムと細菌感染について、歯周病が全身のさまざまな疾患に影響を及ぼしていることについて、スケーリング・ルートプレーニングの手技について、などの基本的なお話をしました。

 

特別講演②は

【獣医師へ受診していても重篤化するイヌの歯周炎、その病態と推測される原因について】

獣医師・奥田綾子先生が、医療の現場では、口腔に関係する疾患が多いにもかかわらず、獣医学教育に歯科治療が反映されていない現状や、そのためにほとんどの獣医師が口腔の知識がないにもかかわらず、見よう見まねで危険な治療行為を繰り返している現状への警鐘を鳴らしました。無麻酔といえば聞こえは良いのかもしれませんが、中途半端な危険な処置の結果、歯を保存するかしないかの問題ではなくなっているくらい重篤な症状になってしまうことがほとんどである。歯周炎が重篤化した口腔内では、上下顎骨の骨折、口腔鼻腔瘻の形成、眼窩内構造への炎症の波及など、多くの重篤な二次的障害が発生している。といった状態で、奥田先生の病院に来院された症例から動物歯科の実態を検証しました。

 

医師・歯科医師・獣医師が、歯周病の基礎的な知識を共有し、とても良い反響を頂くことができました。

 

これからも日々、研鑽を積み重ね、より良い医療を目指していきます。

 

ありがとうございました。

 

レポート/あらやしき歯科医院 嶋倉史剛