ご挨拶

 

 

 

 

一般社団法人 日本総合口腔医療学会 
会長 高橋 理


 前会長の稲葉 繁先生のあとを受け継ぎます高橋 理と申します。今後ともご指導、ご鞭撻のほど宜しくお願い申しあげます。
 私ども日本総合口腔医療学会は総合医療を目指します。すなわち、人々のしあわせを願う活動としまして医学、歯学にとどまらず、広く国民の健康管理を行うという見地に立ち、その実現に対して各種の専門領域をを含めて高い医療知識と技術を養う、という意識を共有できる方々を育てることを目標にいたします。
 現在の医学、歯学教育および各種の医療専門教育は資格試験の合格が主は目的とされ、それぞれの細分化された各領域を統合した教育は軽んじられています。卒後研修のカリキュラムも総合医療を考えることのできる医療人を育てるに十分ではなく、研修機関の相違はあるものの専門領域に特化した認定医,専門医の養成に重きがおかれます。
 58年前の昭和36年(1961年)より始まった国民皆保険は当時の経済状況の中で、医療の恩恵を誰もがうけることのできる、いわゆる憲法で保障された健康保持を守るためのもので、個々の患者に対応する最善の医療を目的といたしておりません。私ども医療関係者が患者となり治療を受けようと思う場合、この保険制度の中だけで治療してほしいと思う場合は寡少あると言えます。歯科領域に限りますと、たとえばお口もとを綺麗にしたい、歯を綺麗にしたいという場合の治療内容には、すべてが保険制度での対応が困難です。人々をしあわせにするな医療は、個々の患者さんに対応する医療である事と考えます。医師、歯科医師など領域間の情報の共有が必要であり、また医療に携わる人々にとりまして患者さんのために最善を尽くすこと
が必要不可欠です。
 これからは医療従事者と患者が共通した情報を持ち、最善のことが実施されなければならないと考えます。このような立場から本学会では医療人として最善最良の医療を身に着けられるよう常に研修を実施し、学術大会などで情報交換をする場を提供することを活動目的といたします。この目的を実施するためは多くの方々の参加が望まれます。ぜひ皆様のご参加を期待してやみません。

略 歴

学 歴
昭和57年3月 広島大学歯学部卒業
昭和62年5月 歯学博士(広島大学)

職 歴
昭和58年4月 広島大学歯学部 助手
昭和62年7月 アメリカ合衆国厚生省研究機関NIH 研究員
平成5年4月 広島大学歯学部 助教授
平成8年4月 東京医科歯科大学歯学部 非常勤講師
平成9年4月 神奈川歯科大学 教授
平成12年4月 神奈川歯科大学 学生部長
平成20年5月 神奈川歯科大学学会 会長

 

日本総合口腔医療学会設立に際して

 

 

 


一般社団法人 日本総合口腔医療学会 
名誉会長 稲葉 繁

日本総合ロ腔医療学会は国民の健康管理の一環として、医科、歯科の境界を考えず、広く国民の健康管理を行うという広い見地に立ち、その実現に対し高い知識と技術を養うという意識を共有できる方々を育てていくことを目標にしていきたいと考えます。 
現在日本における歯科医師教育は、国家試験の合格がその主目的とされ、各大学は合格率の向上に重きを置き、臨床教育は二の次となっていますので、大学を卒業し患者を目の前にしたとき、ほとんど何もできないというのが実情ではないかと思います。そのために一年間の研修制度がうまれました。しかし、その研修カリキュラムも十分でなく、研修機関の相違によりその差が著しく異なってしまいます。特に外部研修、即ち一般の開業歯科医師による研修となるとその差が大きく、研修期間が終わっても十分に臨床が出来ないという状況で、歯科医師となってからの最初の教育の方向により、将来大きく差が表れてしまいます。
私が大学を卒業した昭和39年ころは実際に5年生のときには患者実習で直接患者さんを治療するカリキュラムがあり、クラウン、ブリッジ、義歯のケースが終わらなければ卒業はできませんでした。その結果国家試験に合格すれば一応の臨床手技は身に着けており、すぐに大学で教育を受けたことを実践することが可能でした。しかし現在は学生の時に総義歯を一つも作ったことがない、さらに一度も患者さんの口の中に麻酔をしたことがない等は当然のことのようです。昭和36年から始まった国民皆保険は当時の経済状況の中で、医療の恩恵を国民が誰でも享受できる事を前提にした、いわゆる弱者救済を基本にし、憲法で保障された健康保持の権利を守るために生まれたもめで、最善の医療を受けられる制度とはいえないものです。世界に誇る日本の保険制度とは言っても、その内容はとても高いとはいえないものがあります。我々歯科医師自身が治療を受けようと思ったとき、この保険制度の中だけで治療してほしいと思う人は皆無であると言つても間違いないでしょう。歯科医療の痕跡を他人に悟られないように自然に見えるようにするのが本来の目的でなければなりません。
日本人誰もが美しい歯並びを持ち、白い歯のこぼれる笑い顔が見られるようになることこそ、影で医療を支える医療関係者の地位の高さと高度な歯科医療の存在により、国際的にも日本の歯科医療の評価は高まります。このような感覚を身につけるためには保険制度の改革が必要であり、保険制度を中心とした大学の臨床教育から本来の最善の医療を考えた教育への転換が必要不可欠です。
そのため口元を綺麗にしたい、歯を綺麗にしたいという願望が強まってきています。特に最近では「美白意識」が出てくるようになり、白い歯になりたいという人が多くなって来ています。しかしその様な治療内容には保険での対応は出来ません。そこで国民の歯科医療に対する要求と健康保険制度の間にアンバランスが生まれた結果、国民の歯科医療に対する不信感が増すばかりです。保険ですべての治療が出来るというような誤解を生む発言は避けるべきであり、限界を知らせるべきです。そうでなければ歯科医療の発展は望めないと同時に国民が不幸になることは明白です。
良質な医療は「適切な人」が「適切な方法」で「適切な時」に行う医療であり、希望する人にとって最善な医療が行われる事です。生体安定性の高い安全で安心の医療を行おうとすれば、自ら保険の範囲では不可能である事が多く、歯科医療の特徴として、自然治癒を導く医療が少ない一分野であり、種々の生体材料を体の一部として用いることが大半です。そのため材料費、技工料などが必要であり、これが一般の医療には無いところであり、歯科医療費が高価になる原因となっています。そのため歯科材料としては不十分な物を公的医療では使わざるを得ないのが現状です。このあたりの事情を国民が知る必要がありますが、保険中心の医療に麻痺していると、国が指定しているのであるからと、日常何の疑いもなく使用しているのが普通になる事が恐ろしいことであり、情報の共有が必要となります。これは歯科医科を問わず医療人にとって最善を尽くすことは必要不可欠です。
これからは医療を行う人と医療を受ける人が共通した情報を持ち、最善のことが実施されなければならないと考えます。このような立場から当学会では医療人として最善最良の医療を身に着けられるよう常に研修を実施し、学術大会などで情報交換をする場を提供する必要があります。この目的を実施するためは多くの方々の参加が望まれます。ぜひ皆様のご参加を期待してやみません。


 略歴

学歴
昭和33年4月 日本歯科大学入学
昭和39年3月 日本歯科大学卒業
昭和39年4月 日本歯科大学大学院歯学臨床系入学
昭和43年3月 日本歯科大学大学院修了 (歯学博士甲27号取得)

職歴
昭和43年4月 日本歯科大学補綴学第2講座助手
昭和44年4月 日本歯科大学補綴学第2講座講師
昭和47年4月 日本歯科大学補綴学第2講座助教授
昭和53年2月 西ドイツ チューピンゲン大学留学
昭和54年5月 帰国
昭和62年10月 日本歯科大学付属病院高齢者歯科科長
平成4年10月 日本歯科大学高齢者歯科学教授
平成10年4月 日本歯科科大学補綴学第3講座 (高齢者歯科学)教授
平成13年1月 日本歯科大学付属病院総合診療科教授
平成17年3月 日本歯科大学退職
平成17年4月 包括歯科医療研究会代表

学会活動
平成22年4月 日本老年歯科医学会名誉会員
平成13年7月 日本顎咬合学会評議員

社会活動
日本卜ゥ一スフレンドリー協会理事
IPSG包括歯科医療研究会代表