第一回学術大会
日本総合口腔医療学会は、口腔医療に関する広い知識と治療技術を有する質の高い医療人を育成することを目的とします。本学会では歯科医師、獣医師、医師が連携し、学問横断的に広く多彩に口腔医療への取り組みを行います。
本学会で必要な履修単位を取得された歯科医師、獣医師、医師は、総合口腔診療認定医の受験資格が得られます。本学術大会は認定資格の取得や更新の要件となります。
より多くの方々に口腔医療の知識と技術を習得していただきたく、皆様のご参加をお待ちしております。
1.日時:平成24年5月20日(日曜)9時?17時
2.場所:場所:タイム24ビル1Fホール
〒135-8073 東京都江東区青海2-4-32 1F TEL:03-5531-0024
ゆりかもめ 「テレコムセンター」 駅下車 徒歩約2分
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教育講演
演題: 「咀嚼器官の比較解剖学的な考察」
神奈川歯科大学人体構造学講座組織学分野 教授
学会副会長 高橋 理
抄 録:
ヒトの解剖学的な特徴は直立歩行に起因し、必然的に巨大な脳(頭蓋)とせまい骨盤腔が他の哺乳類と異なります。脊椎動物において口腔という器官は消化器系の門戸に位置し消化、呼吸、嚥下、発音、免疫など重要な機能的側面を形成します。したがって口腔の疾患および加齢変化は哺乳類において常に観察されますが、ヒトに特徴的な事象が散見されます。本講演では、哺乳類の顎・顔面・口腔領域に共通する諸問題から、ヒトの口腔の諸構造をあらためて考察したいと考えます。
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特別講演
演題: 「包括歯科医療の実践」
元日本歯科大学高齢者歯科学教授学会会長 稲葉繁
抄 録:
現在歯科医療は虫歯や歯周病の治療から国民の健康管理にパラダイムシフトをしようとしている。そのため顎口腔系の健康を管理する上に必要な知識と技術を備える事は不可欠である。したがって歯科医学を総合的に学び、包括的に治療を実践してゆく事が望まれる。私が 臨床経験50年の間に研修を行い身につけて来たテクニックを実践して来た知識と技術を、後進の皆様の道標となるよう多方面から述べる予定である。
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認定資格講演
演題: 「獣医歯科口腔外科診療の目指すところ」
日本小動物歯科研究会副会長
ベテックデンティストリー 院長
学会顧問 奥田綾子
抄 録:
一般の小動物獣医医療の対象動物の多くは、肉食動物である犬や猫であり、彼らにとって痛みをおしての意識下での口腔内処置やケアを続けることは、恐怖・苦痛を加えることであり、訓練によって容易になるものではない。また、肉食動物の歯の機能は食べ物をのめる大きさに切って嚥下することで、人間のように食べ物を咀嚼して消化機能の助けとするものではない。このほかの犬や猫の口腔の果たす役割には、体温の調節、毛づくろい、コミュニケーションなどがあり、痛みがあれば、これらの重要な機能を果たすことができなくなる。獣医歯科・口腔外科の目的は、必ずしも歯を保存し、機能的咬合を維持することではなく、口腔内の痛みを除き、病態の進行や続発症を回避するなど、QOLの向上と動物と飼主との家庭での良好な関係を維持しつつ、プラークコントロールをはじめとする口腔内ケアを続けられる状態に管理することと考える。
各動物の口腔内諸器官、顎顔面筋骨系の形態・構造・機能、および好発する病態や疾患を人のそれらと比較しながら考察する。
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教育講演
演題:「日常臨床に潜む悪魔」
―再確認しよう危機管理― 救急蘇生法の実習
国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院循環器内科医長
学会副会長 金子雅史
抄 録:
持病の有る無しに関わらずからだの状態が急変する,すなわち突然死やそれに準ずる状態に陥ることは健康と考えられる誰にでも起こり得ることです.
記憶に新しいと思いますが,有望な若いサッカー選手の突然死が報道されました.
救急医療の現場では,連日のごとく心肺停止患者が搬送されて来られているのが現実です.また高齢者のみでは無いのも事実です.
歯科治療は,外科医療の一つです.麻酔行為,観血的処置が日常的に行われます.私たちは再度改めて危機管理を認識し「起きないであろう、患者の急変」ではなく「起きたらどうしよう」という考え方を持っていただき,日常の臨床に役立てていただきたいと思います.
講演では,
● 起こり得る患者の急変
● 病態の整理(生理)
● 対 応
についてお話させていただきたいと思います.
また別枠で,実技によるPUSH&CALLの実習をさせていただきたいと考えます.