総合口腔診療医が、患者さんにとってよりよい治療を提供するには、個人の力では限界があります。そのため、日本口腔医療学会は各分野の医療連係を確立していくことも責務となります。
 その方法は、様々な専門分野を有する歯科医師・医師の本学会への参加が第一義となります。会員は総合口腔診療医を目指しますが、各自の専門分野があるので、先ずその分野を整理整頓した形を学会内に普及させて会員同士の絆を深めます。そして、その結束力を学会外にも披露することも目標に定めております。
 しかし、それだけでは組織力は堅固でありますけれども医療そのものをなおざりにして、連係性だけに終始してしまう可能性が避けられません。そのように本学会の理念から乖離して、形骸化に至らないためには学会が開催する学術大会や講習会などにおいて、会員は総合口腔診療医としての知識や技術を学んだり議論したりすることが主眼目となります。これら本学会が提供する場で、会員各自が標榜する診療科目のさらなる追求に留まるだけではなく、医療人としての幅広い能力の向上や人間性の再認識の機会を得ることが必要となります。そうすることで、頑な医療界および医療人同士の壁を溶かして、自然な形で本学会の趣旨を包含した医療連係が確立していくと考えています。
 さらに本学会内だけではなく現存する医療関係の諸学会や、医療関連の学科を標榜する大学や医療関連の諸団体とも交流を深めることで、患者さんにとってより良い医療体系の構築を模索していきます。このような過去に例を見ない新しい学会の体系造りは、一朝一夕で為すことはできませんが、日本のよりよい医療体制の確立のために一歩前進の姿勢を貫いてまいります。