2019年7月7日、第18回学術セミナーのご報告です。
獣医師に向けての【歯内療法の基本を学ぶ】を開催しました。
ペットの歯が折れてしまった、虫歯が進行して穴が開いている、など
歯内治療ができれば抜歯しないで済む、歯を失わずに治療できるにもかかわらず、
現在の大学獣医科のカリキュラムには口腔・お口についての教育はありません。
動物病院では、
大学を卒業してから、歯科の専門知識を独自に学んで
歯内療法を実践して歯を守り、QOLを向上させている先生もいれば、
歯内治療を知らずに
・抜歯以外の選択肢を持っていない。
・抜歯もしないで経過観察という名目で何もせずに放置。
というレベルの病院もあるようです。
私もそのような現状だと言われた時は、信じられない思いでした。
裂肉歯と呼ばれる上顎第4前臼歯と下顎第1後臼歯は、破折してしまう率がとても高いそうです。
それでも、実際に専門知識を学んでいる獣医師は、ほんのわずかで、
誤った知識による中途半端な処置を行ったことによるトラブルが後を絶ちません。
歯科治療を熱心に行っている獣医師のところには、避けられたはずの深刻なトラブルで紹介が回ってくることが多くなっています。
そこで日々、歯内療法を行っている歯科医師の話を聴きたい。
というご要望にお応えして、セミナーを行いました。
ペットでも人でも“歯内病変の原因や進行過程”は同じ経過をたどります。
なぜその病気が起こるのか?その時、体はどうなってしまうのか?
歴史的な治療方法の変遷から使用器具、具体的な手技や治療のコツなど、
すぐに臨床応用できるように
歯科医師が実践している手順を追いながら一つずつ解説しました。
きちんと説明ができて、根拠のある治療が行えて
ペットの健康寿命を延ばして、ペットと飼い主さんの幸せを守っていけるように
歯科医師もお手伝いできたら幸いです。
貴重なお時間をありがとうございました。
レポート/あらやしき歯科医院 嶋倉史剛