第16回学術セミナー【動物歯科の臨床】歯周病 2018/07/16 大井町

2018年7月16日、第16回学術セミナーのご報告です。

今年2月の【歯周病】セミナーの反響が大きく、定員オーバーだったため、

獣医師・獣看護師に向けての【歯周病の講義とスケーリングの実習】を7月にも開催しました。

 

ペットの歯周病も人間と同様に深刻で、治療のニーズが多いにもかかわらず、

現在の大学獣医科のカリキュラムには口腔・お口についての教育はありません。

 

動物病院では、

大学を卒業してから、歯科の専門知識を独自に学んで

お口の中の治療を行っている先生もいれば、

 

なんとなく見よう見まねで

「よくは知らないけど、こんな感じで歯石をとればいい感じになるみたい」

というレベルの病院もあるようです。

 

実際に専門的な歯科の知識を学んでいる獣医師は、少数で、

誤った知識による中途半端な処置を行ったことによるトラブルが後を絶たないそうです。

 

● 乱暴な器具操作で、かえって歯に細かい傷をつけてしまって、余計に歯石が付きやすくなってしまった。

● 無麻酔歯石除去と称して、嫌がるペットに余計に恐怖心を植え付けてしまう(あまり強く抵抗をしないトイプードルなどは、その時の処置はできても、家での口腔ケアを嫌がるようになってしまう。トラウマになってしまうケースが多々あるそうです)。

● 無麻酔歯石除去と称して、見える外側だけを歯石除去し、歯の内側の歯石まではとっていないので、内側だけ極端に歯周病が進行してしまい、かえって深刻な病状になるまで気づけなかった。

 

などなど、歯科治療を熱心に行っている獣医師のところには、

避けられたはずの深刻なトラブルで紹介が回ってくることが多くなっています。

 

そこで日々、歯周病治療を行っている歯科医師・歯科衛生士の話を

聴きたい。というご要望にお応えして、講義と実習を行いました。

 

ペットでも人でも“歯周病の原因や進行過程”は同じ経過をたどります。

 

ただ単に目の前の歯石をとることに意識を向けるのではなく、

治療行為として

なぜその病気が起こるのか?その時、体はどうなってしまうのか?

治療の開始と終了の基準はどこなのか?

等を

きちんと説明ができて、根拠のある治療を行い

ペットの健康寿命の延伸と、ペットと飼い主さんの幸せを守っていけるように

歯科医師・歯科衛生士もお手伝いできたら幸いです。

 

貴重なお時間をありがとうございました。

 

レポート/あらやしき歯科医院 嶋倉史剛