第15回学術セミナー【動物歯科の臨床】歯周病 2018/02/12 大井町

2018年2月12日、第15回学術セミナーのご報告です。

昨年7月の【歯周病】セミナーの反響が大きかったため、

獣医師・獣看護師に向けての【歯周病の講義とスケーリングの実習】を行いました。

 

ペットの歯周病も人間と同様に深刻で、治療のニーズが多いにもかかわらず、

現在の大学獣医科のカリキュラムには口腔・お口についての教育はありません。

 

動物病院では、

大学を卒業してから、歯科の専門知識を独自に学んで

お口の中の治療を行っている先生もいれば、

 

なんとなく見よう見まねで

「よくは知らないけど、こんな感じで歯石をとればいい感じになるみたい」

というレベルの病院もあるようです。

 

私もそのような現状だと言われた時は、信じられない思いでしたが、

実際に専門知識を学んでいる獣医師は、ほんのわずかで、

誤った知識による中途半端な処置を行ったことによるトラブルが

後を絶たないそうです。

 

そこで日々、歯周病治療を行っている歯科医師・歯科衛生士の話を

聴きたいというご要望にお応えして、講義と実習を行いました。

 

ペットでも人でも“歯周病の原因や進行過程”は同じ経過をたどります。

 

歯周病の基礎知識として、

なぜ、その治療行為を行うと歯周病が改善するのか?

について理解を深めていただくために、

・歯周組織や歯周病の基礎的な内容、

・歯科医院ではどのように診査・診断を行っているのか?

・治療を進めるうえでのポイント

について講義を行いました。

 

日々、臨床を行っている歯科衛生士からは、

実際の治療中に、

・どのような器具を用いて、

・どのように処置を行い、

・どんなことに注意を払っているのか?

について解説した講義がありました。

 

その後、イヌの顎態模型を使用して、歯石を除去する実習を行いました。

 

ただ単に目の前の歯石をとることに意識を向けるのではなく、

治療行為として

なぜその病気が起こるのか?その時、体はどうなってしまうのか?

治療の開始と終了の基準はどこなのか?

といったことを

きちんと説明ができて、根拠のある治療が行えて

ペットの健康寿命を延ばして、ペットと飼い主さんの幸せを守っていけるように

歯科医師・歯科衛生士もお手伝いできたら幸いです。

 

貴重なお時間をありがとうございました。

 

レポート/あらやしき歯科医院 嶋倉史剛